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2010年 01月 02日
盃に光
  元日宴
                       藤原家隆
もろ人の たちゐる庭の 盃(さかづき)に 光はしるし 千世のはつ春
(六百番歌合、春上、第三番右。壬二集、上)


たくさんの人々が立ち居る庭では、祝盃に光が一際目立って輝いている。千世を祝うこの初春の日に。


   *


名高い『六百番歌合』の春の最初の題「元日宴」、つまり新年を祝う宮中での宴を詠んだ一首。

歌合の判者、藤原俊成は
「姿は優に侍るを(=歌の体は優美だが)、盃、俄(にわか)なるやうに聞ゆらん(=盃というのが唐突な感じがする)。光も盃のひとかたはことよりて侍れど(=光というのも、盃に一面では依っているようだが)、何の光ともなくやあらん(=何の光なのだろうという感じがしなくもない…意訳)」
と述べて、この歌を負けにしている。

だがそうだろうか。題詠ではあるが、この歌の雅やかな情景を鮮やかに思い描くことが出来るように思われる。

祝宴に集う大勢の殿上人が華やかに立ち振る舞っている宮中の庭。そこへ初春の陽光が差し込み、手に持っている盃に注がれている祝の酒に美しい輝きを添えたのだ。新春を言祝ぐのにとてもふさわしい歌ではないだろうか。

by junitchy | 2010-01-02 00:31 | 和歌逍遥 | Comments(0)


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