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2010年 10月 02日
"Strawberry Fields Forever" - in Mono
まず、私が聴き馴染んでいたのは"1967-1970"(いわゆる「青盤」)のステレオヴァージョンと、アメリカ編集LP"Magical Mystery Tour"収録のステレオヴァージョン。余談だが、「青盤」収録のヴァージョン(追記:日本盤)では、曲の最後で一旦フェイドアウトしてから再度フェイドインするまでのタイミングが若干長いことで有名。また「Magical…」収録ヴァージョンとは同じステレオでもミックスが若干異なる。

さて今回『モノ・ボックス』で私は初めてこの曲のモノラルミックスを聴いた。

まず曲の出だしで、ステレオミックスではメロトロンのリフが左チャンネル側から聞こえ、それに続くピアノのコードは右チャンネル側にジャーンと入って、ジョンのヴォーカルがセンターに入る。これはこれで聴き慣れてしまうと違和感は感じないし、いかにもサイケデリックな印象すら与えるものだが、ひとたびモノラルミックスで聴いてしまうと、もうだめだ。

モノラルミックスでは、当然ながら、メロトロンとピアノとヴォーカルは不自然に分離してしまわずに、一つの音場の奥行き感の中にあって滑らかに繋がっており、ごく自然に曲が始まる。何故ステレオでわざわざ左右に振ったのだろうかと訝しく思えてしまう。
また、曲の途中(実際には全くの別テイクを編集で繋げているのだが)から入るストリングスやホーンは右チャンネルに入り、リンゴによるかなりエキサイティングなドラムの左チャンネルと完全に分かれてしまうのだが、モノラル版ではこの両者の音響はうまく融合されている。

つまり、各パートのサウンドがバランス良く(このことはモノラルミックスではとても重要だ)まとめられていて、総体として曲の一体感が違うのである。ステレオミックスの音響的作為はかえって曲の印象をぼかしてしまい、せっかくの素晴らしいこの楽曲を単に「サイケデリックな雰囲気」という受容にのみ貶めてしまっているかのようだ。"Strawberry Fields Forever"に関しては、一つのサウンドプロダクションとしてモノラルミックスの方が完成度が高い、というのが私の感じ方だ。

さらにいうと、本国イギリスでは1973年に「青盤」においてステレオヴァージョンが登場するまではシングル盤のモノラルヴァージョンが「現行版」であったわけである(このことは他のシングル盤にも当てはまることが多いようだ)。アメリカ編集LPにはステレオで事後的に収録はされていたが、やはりプライオリティは1967年1月発売のシングル盤にあるだろう。

ここで私は「正統」という言い方をしてみたくなるのだが、この曲に関して言うとそれは、その出自からして、またその音像からして、紛れもなくオリジナルシングル盤で最初に発表されたモノラルミックスヴァージョンなのだ、という気がするのである。
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by junitchy | 2010-10-02 14:01 | 音楽所懐 | Comments(0)
2010年 09月 23日
モノ・ステレオ
ビートルズの最新リマスター盤が発売されて、個々のステレオ盤とモノ・ボックスを一気に入手してから一年が経った。

この間、アルバム単位で聴くばかりではなく、いくつかプレイリストを作成して(例えばモノラルバージョンのみで全曲とか、ステレオバージョンのみで全曲、オリジナルシングル発売順にA面B面曲、ステレオ・モノラルを一緒にして曲名アルファベット順で、等々)それをさらにまたシャッフルしてみたり、思いつくままに飛ばし聞きしてみたり…と、様々に聴いてきたわけだが、そうしてくると、このアルバムはモノラル、この曲はステレオ、というふうに自分なりの好みがはっきりして来る。

ここでは、そんな自分なりの回答というか結論というか、そんなことを書いてみたいと思う。

敢えて言うまでもないことを最初に、付け足りとして書くとすると、これはあくまでも私個人の感じ方ということなので、一般的な捉え方とは相入れないものであるかも知れない。このことを一つのエクスキューズとして、もしくは何らかの口実として、私はこの文章を書き始めてしまったのである。

手始めに、ざっと大枠での(アルバム単位での)見通しを付けておこう。

Please Please Me (1963)
With The Beatles (1963)
は、やはりモノラル。音の迫力が違う。ステレオ版は元々モノラルミックスを作るための2トラック(演奏と歌)を、ほとんどそのまま左右チャンネルに分けて強引にステレオにしている曲が大部分であり、聞きづらい箇所も多い。

A Hard Day's Night (1964)
は、ステレオが良い。1987年版CDを何故モノラルで出すことにしたのかと逆に訝しく思ってしまう。リミッターでギリギリまで詰め込まれた派手なギターサウンドが心地よい。

Beatles For Sale (1964)
は、モノラルも良いが私はステレオが好きだ。1964年発表のこれら2枚は、今回のリマスター発売の恩恵を最も受けていると思う。

Help! (1965)
はステレオ。モノラルは音質があまり良くない。1965年オリジナルステレオミックスと、1987年CD化の際のステレオリミックスとを比べると、気持ち的にはオリジナルの65年版だが、87年版は左右のステレオ定位の調整だけではなく音質も改善されており、聴きやすさでは捨て難い。

Rubber Soul (1965)
は曲によって違うが、全体ではモノラルに軍配。ステレオではこれも65年版と87年版とがあるが、定位がセンター寄りに調整されている87年版よりもむしろ、左右チャンネルが完全に分離しているオリジナル65年版のほうが正統(正当?)だという気がする。

Revolver (1966)
個人的にはステレオが良い。

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (1967)
これは悩ましいが、やはりモノラルは聴きやすい。

Magical Mystery Tour (1967)
モノラル。曲によってはステレオ。

The Beatles (1968)
好みがはっきり分かれるだろうが私はステレオ。

なお、Yellow Submarine(1969)収録曲のオリジナルモノラルミックスが今回モノボックスのMono Mastersにて初めて発表されたが、これらの曲はモノラルが良い。


まあこれらは飽くまでも現時点での評価であり、今後さらに聴き込んでいくと考えが変わるものもあるだろう。
個々の曲についてはまた改めて、少しずつ取り上げてみたいと思う。






 
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by junitchy | 2010-09-23 21:34 | 音楽所懐 | Comments(0)
2009年 10月 11日
09・09・09
ビートルズ・ファンの端くれであることを自認している身としては、やはり今回のリマスター再発盤は当初から気になっていた。さてどうしようか、『モノボックス』だけでも買おうかとか何となく考えていたのは8月頃だったが、9月に入って否が応にも盛り上がってくる雰囲気に流されるかのごとく、結局は発売前にネットショップで予約し、世界同時発売日2009年9月9日の数日後には全CDを入手していたのだった(私が購入したのは『モノボックス』およびステレオ盤全14作品をバラで、いずれも輸入盤)。

考えてみると、レコード・CDを含めてこうして公式盤で全作品を揃えるのは初めてのことだ。そもそも自分がビートルズにハマったのは、1981年頃に誰だったかにもらった「1962-1966」(いわゆる「赤盤」)のカセットテープだった。そして正月のお年玉で「1967-1970」(「青盤」)のカセットを買った。さらに、1982年にNHK-FMで放送されたビートルズデビュー20周年記念の全曲放送番組を当時の安いラジカセでせっせとカセットテープに録音した。それこそ何度となく聴いていたので彼らの曲は全て熟知していたし(何曲かはギターで耳コピーが出来るくらいに)、敢えてレコードで買い直す必要もなかったのだ(まあ実際には国内盤LPを何枚かは買ったが)。

1984年に各国編集盤LPが一斉に廃盤になってUKオリジナルLPに統一されることになったときも買い急ぐことは無かったし、1986年からCDとして順次発売されても、1987年にTechnicsのCDプレーヤーを購入してもらってから"Sgt. Pepper"を買ったくらい。あとは順次少しずつ欲しいと思ったCDを買っていった程度で、特に全作品を買い直そうとは思わなかった。1990年代になって発売された "Live At The BBC" や "Anthology" も欲しいと思わなかった。2002年頃にブートレグ盤のアメリカ編集アルバム紙ジャケットシリーズ(非常に良く出来た複製だった)を何枚か買ったりしていたが、その後、本家キャピトルが同じ嗜好のボックスセットを発売しても、やはり買わなかった。他に、公式CDでは聴けないLP音源の盤起こしブートCDも何枚か買ったが、やはり全作品は揃わなかった。

だが多分、自分も歳を取ったのだろう。今この機会を(つまり、初回限定盤と謳われたモノボックスも含めて、公式音源を最新リマスターで一気に揃えることが出来るこの機会を)逃してしまうと、いつまで経っても自分はビートルズのアルバムを全て入手することはないだろう、と。そのように考えたのだった。そしてこの判断は正しかったと思う。

購入後はまず、モノボックスのアルバムを全部聴いた。オリジナルモノラルミックスでは初めて聴く曲も多く、いろいろと発見もあった。人口に膾炙していると言えるような曲、例えば "Hey Jude" とそのB面 "Revolution" のオリジナルシングル盤のモノラルミックスなどはステレオミックスよりもはるかに迫力がある。一部には「ビートルズはモノラルで聴くのが正当」というモノラル信奉があるが、私の聴いた感じでは、アルバムによって、また曲によって、モノラルが良いもの・ステレオが良いものがあり、どちらか一方には決められない。ただやはり思うのは、モノラル音源も限定盤ではなく通常に入手出来るようにすべきだったということ。一部の人にしか入手出来ないというのは、なんとももったいないことだ。

音と並んでもう一点、モノとステレオとで違うものがある。それはジャケットだ。「モノボックス」では当時のオリジナルLPジャケットを忠実に再現した紙ジャケットとなっているのだが、ステレオ盤のジャケットの写真とは色味がかなり異なる。まずベース色がかなり暖色系で、色味も落ち着いている。1960年代当時のアルバムジャケットは、プレス回数によってかなり色味が異なっていたらしく、どれが本当の色なのかは俄には定めがたいが、今回の紙ジャケットは少なくとも当時の趣をうまく再現しているのではないかという気がして(もちろん私は実物のオリジナルLPを持っていないので断定は出来ないが)自分としては好みだ。反対にステレオ盤では、音と同じようにジャケット写真もクリアに補正しているようだ。

試しに比べて見えるように撮影してみた。上になっているほうがモノラル盤紙ジャケット。

"With The Beatles"
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"Beatles For Sale"
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中学生の頃は、カセットテープで彼らの曲を聴きながら、自分の好きな曲ばかりを集めて編集したテープを作りたいと常々思っていたものだ。古いラジカセ録音のテープでは音が悪く、ダビングもままならなかったから、LPで全部揃えたらいつかは…と。今回、全CDをさっそくMacに(Appleロスレス形式で)取り込んだ。iPhoneにも入れて聴きまくっているので、モノラルヴァージョン・ステレオヴァージョンの違いまで含めて選定した「マイ・ベスト」を作ってみたいと思っている。
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by junitchy | 2009-10-11 23:28 | 音楽所懐 | Comments(2)